個人情報と利用目的|データ利用・法律・権利の読み方
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データ利用・法律・権利の読み方(初級・読む30分+演習30分)
この授業のゴール
- 表の列を見て、個人情報にあたる可能性がある列(氏名、ID、生年月日と住所の組み合わせ等)と、特に慎重に扱う列を指摘できる
- 「氏名を消せば個人情報ではない」が誤りである理由を、他の表との照合の例で説明できる
- 公表されている利用目的の文言と、やりたい分析を照らし合わせ、範囲内か・不明か・範囲外の可能性が高いかを根拠つきで分類できる
- 利用目的の範囲外と考えられるとき、取るべき行動(担当部署への相談、目的の見直し、同意の取得、データの絞り込み)を挙げられる
仕事でどう使うか
顧客・従業員・患者・学生など人に関するデータは、データの仕事の中心です。購入履歴、問い合わせ、アプリの操作ログ、アンケート、採用応募書類などは、多くの場合個人情報を含みます。
| 路線 | この授業の使いどころ |
|---|---|
| DS(データサイエンティスト) | 分析計画書に「使う列」「個人情報の有無」「利用目的との対応」を書く。集計結果を出すとき、少人数のセルで個人が分からないか確認する |
| ML(機械学習エンジニア) | 学習データの特徴量に個人情報や特に慎重に扱う情報が入っていないか、モデルの用途が利用目的の範囲内かを確認する |
| DX(DX推進・AI企画) | 新しいデータ活用の企画で、プライバシーポリシーの利用目的と企画の内容を照合し、必要なら目的の見直しや同意取得の手続きを関係部署と進める |
| RS(研究者) | 研究で人のデータを扱うとき、研究計画書・倫理審査の申請に、取得するデータ・利用目的・管理方法を書く |
この授業では、日本の個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)の考え方を、執筆時点(2026年)の一般的な説明として学びます。法律は見直しの検討が続いており、細部が変わることがあります。
前提
- 法律・契約・組織規程の3層 → 法律・契約・組織規程
- 表の「1行の単位」と列の種類 → 行と列と1行の単位、数値・カテゴリ・日時・欠損
この授業の位置づけ:法律・ガイドラインの説明は、執筆時点(2026年)の一般的な説明です。法令・ガイドラインは改正され、管轄(国・地域)や個別の事実で結論が変わります。この授業は法的助言ではありません。実際の案件では、最新の公式情報を確認し、社内の法務・知財・個人情報保護の担当者や弁護士などの専門家に相談してください。教材の自己採点で「合格」しても、それは法的な承認ではありません。
この授業で「〜の可能性が高い」と書くのは、最終判断を具体的な事実に基づき担当部署や専門家が行うからです。
身近な状況:「名前は消したので個人情報ではありません」
架空のネットショップで、分析担当の山本さんが次の表を作りました。
| customer_id | birth_date | postal_code | gender | purchase_total(円) |
|---|---|---|---|---|
| C0012 | 1988-04-02 | 150-0001 | 女性 | 84,000 |
| C0045 | 1975-11-30 | 060-0042 | 男性 | 12,500 |
| C0078 | 2001-07-15 | 900-0014 | 女性 | 230,000 |
山本さんは「氏名とメールアドレスの列を削除したので、もう個人情報ではありません。外部の分析会社に渡しても大丈夫です」と言いました。これは正しいでしょうか。
考えるべき点は2つあります。
- 社内には、
customer_idと氏名が対応した顧客マスタがあります。社内では、この表と顧客マスタを照合すれば、C0012が誰かすぐ分かります。 - 生年月日・郵便番号・性別の組み合わせは、人数の少ない地域ではほぼ1人に絞り込めることがあります。
つまり「氏名の列がない」ことは、「個人を識別できない」ことを意味しません。さらに、外部の会社に渡すことは「第三者への提供」にあたる可能性があり、原則として本人の同意などの手続きが問題になります(委託などの扱いは事実によって変わります)。
もう1つの問題は利用目的です。このショップのプライバシーポリシーには「ご注文商品の発送、代金の請求、お問い合わせへの対応のため」としか書かれていないとします。購入履歴を使って「誰がどんな広告に反応しそうか」を分析することは、この文言に含まれるでしょうか。この授業では、この2つ(個人情報か、利用目的の範囲内か)を判断する考え方を学びます。
直感的な説明:「その人だと分かるか」と「約束した使い方か」
2つの問いで考えます。
問い1:その情報から、特定の誰かだと分かるか(分かる状態にできるか)
- 氏名、顔写真があれば分かります。
- 氏名がなくても、社内の別の表と照合して誰か分かるなら、分かる状態にできます。
- 1つ1つでは分からなくても、組み合わせで分かることがあります。
問い2:その使い方は、本人に示した目的の範囲内か
お店で配送のために住所を伝えた人は、その住所が配送に使われることは予想しています。しかし、自分の購入履歴から「お金に困っていそうな人」と推定されて別の会社の広告に使われるとは予想していないでしょう。個人情報保護法は、事業者に利用目的をできる限り特定することと、その範囲内で使うことを求めています。目的は、本人に通知するか、プライバシーポリシーなどで公表されます。
なお、プライバシーポリシーの利用目的の文言は、契約の条文としてではなく「法律が求める利用目的の特定・公表」として読みます(法律・契約・組織規程 の3層)。
正確な定義:個人情報の種類と利用目的のルール
執筆時点の一般的な説明として、主な用語を整理します(正確な定義は法律と個人情報保護委員会の公式資料で確認してください)。
| 用語 | おおまかな意味 | 例 |
|---|---|---|
| 個人情報 | 生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別できるもの。他の情報と容易に照合でき、それにより識別できるものを含む。また個人識別符号を含むもの | 氏名、氏名と結びついた購入履歴、社内で顧客マスタと照合できる顧客ID付きのデータ |
| 個人識別符号 | それだけで特定の個人を識別できる符号として法令で定められたもの | マイナンバー、旅券番号、運転免許証番号、顔認証用の特徴データなど |
| 要配慮個人情報 | 不当な差別や偏見が生じないよう特に配慮が必要なもの。取得には原則として本人の同意が必要 | 人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実など |
| 個人データ | 検索できるように体系的に構成された個人情報データベース等を構成する個人情報 | 顧客データベースの各レコード |
| 仮名加工情報 | 他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できないように加工した情報。主に社内での分析に使う制度 | 氏名をIDに置き換え、特異な値を削除したデータ(詳細な加工基準あり) |
| 匿名加工情報 | 特定の個人を識別できず、元に戻せないように加工した情報。一定の手続きで第三者提供が可能になる制度 | 基準に沿って加工し、所定の公表等を行ったデータ |
| 統計情報 | 複数人の情報を集計し、個人との対応関係がなくなったもの | 「20代女性の平均購入額」(ただし人数が極端に少ない集計には注意) |
利用目的に関する主なルール(一般的な説明)
- 特定する:利用目的をできる限り具体的に定める。「事業活動のため」「サービス向上のため」のような抽象的な書き方だけでは、特定として不十分と考えられています。個人情報保護委員会のガイドラインでは、本人から得た情報から行動や関心などを分析する場合、その分析を行うことを本人が予測・想定できる程度に利用目的を特定すべき、という趣旨の説明があります(最新版で確認してください)。
- 通知・公表する:取得時に本人に通知するか、あらかじめ公表しておく。
- 範囲内で使う:特定した目的の達成に必要な範囲を超えて使うには、原則として本人の同意が必要(法令に基づく場合などの例外がある)。
- 変更には限界がある:変更前の目的と関連性があると合理的に認められる範囲を超える変更は、原則として同意が必要になると説明されています。
判定の3区分:データ担当者は、やりたい分析を次の3つに分類して相談に持ち込みます。
- 範囲内と読める:目的の文言に明確に含まれる(例:「発送のため」→配送ルートの最適化に住所を使う)
- 不明:文言の解釈が分かれる(例:「商品・サービスの改善のため」→購入履歴でおすすめ機能を作る)
- 範囲外の可能性が高い:文言から本人が予想できない(例:「発送のため」→購入履歴から信用度を推定して他社に提供)
段階付き例題:分析企画を利用目的と照合する
入力:あるサブスクリプションサービスのプライバシーポリシーの利用目的(架空)
(a) 本サービスの提供、料金の請求のため
(b) お問い合わせへの対応のため
(c) ご利用状況を分析し、本サービスの機能改善・新機能の開発に役立てるため
(d) 本サービスに関するお知らせ・キャンペーンのご案内のため
やりたいこと:利用時間・問い合わせ回数・契約期間から解約しそうな顧客を予測し、解約しそうな人に継続特典のメールを送る。
ステップ1:やりたいことを処理に分解する
| # | 処理 | 使うデータ |
|---|---|---|
| 1 | 解約予測モデルを学習する | 利用時間、問い合わせ回数、契約期間、解約の有無 |
| 2 | 現在の顧客の解約しやすさを推定する | 同上 |
| 3 | 推定結果をもとに特典メールを送る | メールアドレス、推定結果 |
ステップ2:処理ごとに目的の文言と照合する
| # | 関係しそうな目的 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | (c) 利用状況の分析・機能改善 | 不明 | 解約予測が「機能改善・新機能の開発」に含まれるかは解釈が分かれる |
| 2 | (c) | 不明 | 個人ごとの推定を行い、それを個人への働きかけに使う点で、本人が予想できるかが問題 |
| 3 | (d) キャンペーンのご案内 | 範囲内と読める部分と不明な部分がある | 案内自体は(d)に含まれそうだが、「分析で選んだ人にだけ送る」ことまで本人が予想できるか |
ステップ3:列の必要性を確かめる(データの最小化):解約予測にメールアドレスや氏名は不要です。学習には内部IDだけを使い、メールアドレスは送信の段階でのみ結びつけます。こうすると分析担当者が氏名を見る必要がなくなり、取り扱いのリスクが下がります。
ステップ4:結論を書く
処理1〜3は、利用目的(c)(d)との関係が「不明」。個人情報保護の担当部署に、目的の文言の解釈と、必要なら利用目的の改定(例:「ご利用状況を分析し、お客様に適したご案内を行うため」の追加)と通知・公表の方法を相談する。相談の結論が出るまで、処理3(個人への送信)は実施しない。
出力の意味:「使える/使えない」を自分で断定せず、処理単位で根拠を示すと、担当部署は短時間で判断できます。また「目的の見直し」という進め方も示せます。
操作して理解する:氏名を消しても照合できることを確かめる
次のコードは、「氏名を削除した分析用の表」と「社内の顧客マスタ」を、customer_id で結合(照合)します。pd.merge(左の表, 右の表, on='列名') は、指定した列の値が一致する行どうしをつなげる関数で、戻り値は新しい DataFrame(表)です。
import pandas as pd
analysis = pd.DataFrame({ # 氏名を削除した分析用の表
'customer_id': ['C0012', 'C0045', 'C0078'],
'birth_year': [1988, 1975, 2001],
'purchase_total': [84000, 12500, 230000],
})
master = pd.DataFrame({ # 社内の顧客マスタ
'customer_id': ['C0012', 'C0045', 'C0078'],
'name': ['青木 花', '石井 誠', '上田 葵'],
})
joined = pd.merge(analysis, master, on='customer_id')
print(joined)
# 組み合わせで何人に絞り込めるか(地域×生まれ年×性別)
people = pd.DataFrame({
'pref': ['東京', '東京', '東京', '沖縄', '沖縄'],
'birth_year': [1988, 1988, 1990, 2001, 1975],
'gender': ['女性', '女性', '男性', '女性', '男性'],
})
counts = people.groupby(['pref', 'birth_year', 'gender']).size()
print(counts)
print('1人だけのグループ数:', int((counts == 1).sum()))
出力では、氏名のない表に氏名が戻ります。社内に顧客マスタがある限り、この分析用の表は照合により個人を識別できる状態にあると考えられます。
後半では、5人中3人が「その組み合わせに1人だけ」のグループです。集計表に人数1のセルがあると、その人の値がそのまま分かってしまいます。
値を変えて考える:
masterを社外の分析会社が持っていない場合、分析会社にとっての扱いはどう変わるでしょうか。→ 提供する側(自社)では照合できるため、提供する行為そのものの扱いが問題になります。受け取る側の状況だけで判断しないことが重要です(判断の詳細は担当部署・専門家に確認)。peopleに「沖縄・2001・女性」をもう1人加えると、1人だけのグループは2つに減ります。集計では「人数が一定未満のセルは表示しない」などの社内基準を設けることがあります(「識別子と再識別」(有料版) で扱います)。
発展:加工・提供・海外の論点
- 仮名加工情報と匿名加工情報:仮名加工情報は主に社内の分析のための制度で、原則として第三者に提供できません。匿名加工情報は、より厳しい加工基準と所定の公表などにより第三者提供ができる制度です。どちらも「IDに置き換えただけ」では基準を満たさないことが多いです。
- 第三者提供の例外的な扱い:業務の委託、事業承継、一定の条件を満たす共同利用は、提供先が「第三者」にあたらないものとして扱われる仕組みがあります。委託先に委託の範囲を超えて使わせることはできず、委託元には監督が求められます。
- 個人関連情報:Cookie(Webサイトが閲覧者のブラウザに保存する識別情報)や閲覧履歴など、それ自体は個人情報でなくても、提供先で個人データとして取得されることが想定される場合に、提供元に確認義務が生じる仕組みがあります。
- 海外・公的機関・研究:海外の利用者や海外のサーバーが関わる場合はその国の法律(EUのGDPRなど)や外国への提供のルールが、公的機関や学術研究には民間と異なる規律が関わる可能性があります。
限界:いずれも条件・手続きが細かく、この説明だけで判断できるものではありません。「こういう制度がある」と知り、使えそうなら担当部署・専門家に相談してください。
よくある失敗
失敗1:氏名を消せば個人情報ではないと考える
誤った例:
「氏名・メール列を削除しました。customer_id と購入履歴だけなので個人情報ではありません。」
なぜ誤りか:社内に customer_id と氏名の対応表(顧客マスタ)があれば、社内では容易に照合して個人を識別できる状態にあります。本文のコードで確かめたとおり、pd.merge の1行で氏名が戻ります。
| 状態 | 社内での識別 |
|---|---|
| 氏名あり | できる |
| 氏名なし・ID あり・対応表が社内にある | 照合すればできる |
| 集計済み(各セル十分な人数) | 通常はできない |
直し方:「氏名を消した=個人情報でない」と書かず、「仮名化(IDに置換)したが、社内では照合可能」と状態を正確に書きます。外部に出す場合は、個人情報保護の担当部署に提供の扱いを確認します。
失敗2:「サービス向上のため」なら何にでも使えると考える
誤った例:
「プライバシーポリシーに『サービス向上のため』とあるので、購入履歴から収入を推定して金融商品の広告に使うこともサービス向上に含まれます。」
なぜ誤りか:抽象的な文言を広げて解釈すると、本人が予想できない使い方まで含めてしまいます。利用目的はできる限り特定することが求められており、特に行動や関心を分析する場合は、その分析を本人が予想できる程度に示すべきだと説明されています。収入の推定という新しい使い方は、文言から本人が予想するのは難しいでしょう。
直し方:分析を処理に分け、それぞれを「範囲内と読める/不明/範囲外の可能性が高い」に分類し、「不明」以上は担当部署に相談します。必要なら利用目的の改定と通知・公表、または本人の同意取得を検討します。
失敗3:集計すれば必ず個人が分からなくなると考える
誤った例:地域×年齢×性別で平均購入額を集計し、そのまま社外資料に掲載した。
| 地域 | 年代 | 性別 | 人数 | 平均購入額(円) |
|---|---|---|---|---|
| A町 | 70代 | 男性 | 1 | 412,000 |
| B市 | 30代 | 女性 | 245 | 38,200 |
なぜ誤りか:A町の70代男性が1人だけなら、「平均」はその人の購入額そのものです。地域の人が見れば誰か推測できる可能性があります。
直し方:人数が一定未満のセルは表示しない、区分を粗くする(「70代以上」「A町を含む地域」)などの基準を事前に決めます。社内に基準がなければ担当部署に確認します。基準の人数(例:10人未満を非表示など)は組織や用途で異なり、ここで数値を断定することはできません。
まとめ
- 個人情報は「特定の個人を識別できるか(照合して識別できる状態にできるか)」で考える。氏名を消しただけでは個人情報でなくなるとは限らない。
- 病歴などの要配慮個人情報は取得・利用に特に慎重さが必要。自由記述に紛れ込むことがある。
- 利用目的はできる限り特定され、その範囲内で使うのが原則。抽象的な文言を広く解釈しない。
- 分析を処理に分け、「範囲内と読める/不明/範囲外の可能性が高い」で分類し、不明以上は担当部署に相談する。
- 最小化(必要な列だけ使う)と、集計時の少人数セルの扱いで、リスクを下げる。
用語
- 個人情報(personal information)
生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合して識別できるものを含む)や、個人識別符号を含むもの(一般的な説明)。
- 要配慮個人情報(special care-required personal information)
人種・信条・社会的身分・病歴・犯罪の経歴など、不当な差別や偏見が生じないよう特に配慮が必要な個人情報。取得には原則として本人の同意が必要。
- 利用目的(purpose of use)
事業者が個人情報を使う目的。できる限り特定し、本人に通知または公表し、その範囲内で使うのが原則。
- 第三者提供(provision to a third party)
個人データを本人・事業者以外の者に渡すこと。原則として本人の同意が必要とされ、委託・事業承継・共同利用などの例外的な扱いがある。
- データの最小化(data minimization)
目的に必要な範囲のデータだけを取得・利用すること。リスクと確認の手間を減らす。
よくある質問
なぜ利用目的をそこまで気にする必要があるのですか?
本人は、示された目的を前提に情報を渡しています。予想外の使い方は、法律上の問題になりうるだけでなく、知られたときに強い不信を招きます。分析の成果が良くても、目的の確認不足でサービスを止めることになれば、その成果は使えません。
個人情報と個人データは何が違いますか?
おおまかには、個人情報のうち、検索できるように体系的に整理されたデータベース等を構成するものが個人データです。データベースや表で扱うデータの多くは個人データにあたり、第三者提供や安全管理のルールは主に個人データに関わります。正確な定義は公式資料で確認してください。
IDに置き換えたデータ(仮名化したデータ)は自由に使えますか?
使えません。社内に対応表があれば照合できるので、個人情報として扱う必要がある場合が多いです。法律上の「仮名加工情報」は、所定の加工基準と義務を満たしたものを指し、単にIDに置き換えただけのデータとは異なります。
目的の範囲外だと分かったら、もう使えないのですか?
進め方はあります。利用目的の見直し(変更できる範囲には限界があります)、本人の同意の取得、統計情報として集計して使う、使う列を減らす、などです。どれが可能かは事実によるので、担当部署と相談して選びます。
社員のデータ(勤怠、評価など)にも同じ考え方が当てはまりますか?
当てはまります。従業員の情報も個人情報です。人事データを分析する場合は、就業規則や社内規程、労働関係の法律なども関わりうるため、人事部門と個人情報保護の担当部署の両方に確認します。
生成AIのチャットに顧客の問い合わせ文を貼り付けて要約させるのは、どう考えればよいですか?
外部のサービスに個人情報を入力することになるため、①利用目的の範囲内か、②サービス提供者への提供をどう位置づけるか(委託など)、③サービスの利用規約(入力データの扱い)、④社内の生成AI利用ガイドライン、を確認します。会社が契約したサービスか、入力前に個人情報を除去できるかも重要です。
確認問題
問1 顧客IDと購入履歴だけの表がある。社内には顧客IDと氏名の対応表もある。この表について最も適切な説明はどれか。
- ① 社内では対応表と容易に照合して個人を識別できるため、個人情報にあたる可能性が高い
- ② 氏名がないので個人情報にはあたらない
- ③ 購入履歴は事実なので個人情報になることはない
- ④ IDが英数字なら個人情報にならない
解答と解説
正解:①
他の情報と容易に照合でき、それにより特定の個人を識別できる情報は、個人情報に含まれると説明されています。
問2 次のうち、一般に要配慮個人情報の例とされるものはどれか。
- ① 好きな食べ物
- ② 購入した商品のカテゴリ
- ③ 利用しているスマートフォンの機種
- ④ 病歴
解答と解説
正解:④
病歴は、人種・信条・社会的身分・犯罪の経歴などと並んで、要配慮個人情報の例として挙げられています。取得には原則として本人の同意が必要です。
問3 プライバシーポリシーの利用目的が「サービス向上のため」とだけ書かれている。最も適切な理解はどれか。
- ① 抽象的なので、どんな分析にも使える
- ② 利用目的はできる限り特定すべきとされ、抽象的な文言を広く解釈して新しい使い方に当てはめるのは危険。担当部署に確認する
- ③ 書いてある以上、会社の解釈が常に優先する
- ④ 利用目的は法律上の義務ではないので気にしなくてよい
解答と解説
正解:②
利用目的はできる限り特定することが求められ、抽象的な文言だけでは特定として不十分と考えられています。広い解釈で新しい使い方を正当化せず、確認します。
問4 地域×年代×性別の集計表で、ある区分の人数が1人だった。この表を社外に公開する前の対応として最も適切なものはどれか。
- ① 集計してあるので、そのまま公開してよい
- ② 人数の列だけ削除すれば問題ない
- ③ 人数の少ない区分を非表示にする・区分を粗くするなど、個人が推測されない形にしてから、社内基準に沿って確認する
- ④ 平均値を四捨五入すれば問題ない
解答と解説
正解:③
人数1の区分では、平均値がその人の値そのものになります。人数の少ないセルを非表示にしたり、区分を粗くしたりする対策が一般的です。
問5 解約予測の分析で、氏名・メールアドレスを分析環境に取り込まず、内部IDと利用時間だけを使うことにした。この判断の主な意義はどれか。
- ① 分析に必要なデータだけを使う最小化により、取り扱いのリスクと確認の手間を減らせる
- ② これで個人情報保護法の対象外になる
- ③ モデルの精度が必ず上がる
- ④ 利用目的の確認が不要になる
解答と解説
正解:①
最小化は、分析担当者が不要な個人情報に触れないようにし、漏えい時の被害や確認の範囲を小さくします。ただし、内部IDが照合可能なら個人情報である可能性は残り、利用目的の確認も必要です。
問6 業務委託先に個人データを渡して分析を依頼する。一般的な説明として最も適切なものはどれか。
- ① 委託であれば、委託先は受け取ったデータを自社の別事業にも自由に使える
- ② 委託は必ず本人の同意が必要である
- ③ 委託先が海外でも国内でも扱いはまったく同じである
- ④ 委託の場合、提供先は第三者にあたらないものとして扱われうるが、委託の範囲内での取り扱いに限られ、委託元には委託先の監督が求められる
解答と解説
正解:④
委託は第三者提供の例外的な扱いとして説明されますが、委託の範囲を超えた利用はできず、委託元の監督責任があります。海外の場合は別のルールが関わる可能性があります。
次に学ぶこと
次は 著作権とライセンス で、データ・文章・画像・コードにかかわる「著作権とライセンス」を学びます。
関連:識別子と再識別のリスクは 「識別子と再識別」(有料版)、最小化と匿名化は 「最小化と匿名化」(有料版)、匿名化された共有は 「匿名化された共有」(有料版) で詳しく扱います。同意の取り方は 同意とデータ取得 で学びます。
キャリア学習:データサイエンティスト・機械学習エンジニア・DX推進・研究者を目指す人の学習アプリ。164モジュール・984授業を、ブラウザで動くSQLとPythonの演習で。基礎と各分野の最初のモジュールは無料。全部は2,980円の買い切り。
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