文の主語・動詞・語順|英語の基礎から技術文へ
このページはプロモーション(広告)を含みます。
英語の基礎から技術文へ(初級・読む25分+演習25分)
この授業のゴール
- 英文の主語(S)と動詞(V)を見つけ、「誰が・何が」「どうする」を日本語で言える
- 語順(S・V・O・C)から、どの名詞が動作をする側で、どの名詞が動作を受ける側かを判断できる
- 主語のない命令文と There is/are 構文を、技術文書の指示・存在の説明として正しく訳せる
- 表やファイルの内容を、主語と動詞がそろった短い英文3つで説明できる
仕事でどう使うか
データやプログラムの仕事では、英語の文書を毎日のように読みます。ライブラリの説明書(README:最初に読むべき説明ファイル)、エラーメッセージ、データの列の説明、論文の要旨などです。ここで最初につまずくのは単語ではなく、誰が何をするのかの取り違えです。
| 路線 | この授業の使いどころ |
|---|---|
| DS(データサイエンティスト) | データ定義書の "Each row represents one order." を読み、表の1行が何を表すかを正しく把握する。取り違えると集計の単位を誤る |
| ML(機械学習エンジニア) | "The function modifies the input array." と "The function returns a new array." の違いから、元のデータが書き換わるかを判断する |
| DX(DX推進・AI企画) | 海外ツールの説明 "The tool sends a report to the administrator." から、誰に何が届くのかを社内向け資料に正しく書く |
| RS(研究者) | 論文の "We trained the model on 2,000 samples." から、誰が何に対して何をしたのか(手法の主体と対象)を要約する |
英語は語順で役割が決まる言語です。この授業では、語順だけで意味が逆になる例を見ながら、主語と動詞を最初に押さえる読み方を身につけます。英文はすべてこの教材のための自作です。
前提
前提として、次のことを確認してください。
- 中学英語の文法用語(名詞・動詞・形容詞)を聞いたことがあれば十分です。忘れていても、この授業の中で定義します。
- 学習の進め方(読了と習得を分けること、思い出す練習)は 知る・説明する・使うの違い、記憶から思い出す練習 で扱いました。この授業でも「読んで分かった」で終えず、演習で自分で書いて確かめます。
- この授業には聴解用の音声ブロックがあります。Chromeでは「再生」で英語の音声が流れ、台本の表示・非表示を切り替えられます。音声が使えない端末では台本を読んで答えてください。
記号の約束:この授業では、主語を S(Subject)、動詞を V(Verb)、目的語を O(Object:動作を受けるもの)、補語を C(Complement:主語や目的語が何であるか・どんな状態かを説明する語)と書きます。
身近な状況:単語は全部分かるのに、意味が逆になる
ある分析担当者が、社内ツールの英語の説明を読んでいます。
The script reads the configuration file.
単語の意味は「script=スクリプト(小さなプログラム)」「reads=読む」「configuration file=設定ファイル」です。これを「設定ファイルがスクリプトを読む」と訳すと、意味がおかしくなります。正しくは「スクリプトが設定ファイルを読む」です。
日本語では「が」「を」という助詞が役割を示すので、「設定ファイルをスクリプトが読む」と順番を入れ替えても意味は同じです。英語には助詞がありません。代わりに位置が役割を示します。
| 英文 | 位置による役割 | 正しい訳 |
|---|---|---|
| The script reads the file. | script=S、reads=V、file=O | スクリプトがファイルを読む |
| The file reads the script. | file=S、reads=V、script=O | ファイルがスクリプトを読む(不自然) |
| The model predicts the price. | model=S、price=O | モデルが価格を予測する |
| The price predicts the model. | price=S、model=O | 価格がモデルを予測する(意味が通らない) |
同じ単語でも、並べ替えるだけで「誰がする側か」が入れ替わります。技術文では、入れ替わっても文法的には正しい文が多いので、意味が通るかどうかで気づけないことがあります。たとえば次の2文は、どちらも自然な文です。
- The server sends the data to the client.(サーバーがクライアントへデータを送る)
- The client sends the data to the server.(クライアントがサーバーへデータを送る)
データの流れる向きが逆です。設計図や障害報告で取り違えると、調べる場所を間違えます。
直感的な説明:まず「誰が」と「どうする」に印をつける
英文を読むときは、左から単語を1つずつ訳すのではなく、次の順に探します。
- 動詞(V)を探す:動作や状態を表す語です。技術文では reads, returns, contains, supports, is, are などが多く出ます。
- 動詞の左にある名詞のかたまりが主語(S):「誰が・何が」にあたります。
- 動詞の右にある名詞のかたまりが目的語(O)か補語(C):「何を」または「何である」にあたります。
たとえば "Each row represents one customer." なら、動詞は represents(表す)、その左の Each row(各行)が主語、右の one customer(1人の顧客)が目的語です。訳は「各行が1人の顧客を表す」です。データ定義書でとても多い文の形で、「この表は1行=顧客1人」という粒度(1行が表す単位)を教えてくれます。
動詞を見つけるコツは2つあります。
- 主語が「1つ・1人」で現在のことなら、動詞の語尾に -s がつきます(returns, contains, supports)。これを3人称単数現在の s(3単現の s)といいます。
- is / are / was / were は be動詞 と呼ばれ、「〜である」「〜にある」を表します。The file is empty.(そのファイルは空である)
たとえの限界:「動詞の左が主語」は、平叙文(ふつうの文)での目安です。疑問文や命令文、主語が長い文では形が変わります。次の節で正確な規則を確認します。
正確な定義:5つの基本の形と、技術文に多い2つの形
英語の文は、動詞の後ろに何が来るかで、次の5つの形に整理できます(文型といいます)。
| 形 | 構造 | 自作の例文 | 訳 |
|---|---|---|---|
| 1 | S + V | The job failed. | ジョブが失敗した |
| 2 | S + V + C | The file is empty. | ファイルは空である(file=empty の関係) |
| 3 | S + V + O | The function returns a list. | 関数がリストを返す |
| 4 | S + V + O + O | The tool gives users a warning. | ツールが利用者に警告を与える(人に・物を) |
| 5 | S + V + O + C | The option makes the output shorter. | その設定は出力を短くする(output=shorter の関係) |
C(補語)と O(目的語)の違い:C は主語や目的語と「=」の関係になります(file=empty、output=shorter)。O は動作を受ける別のものです(function ≠ list)。
技術文書では、さらに次の2つの形がとても多く出ます。
命令文(主語がない):動詞の原形(-s がつかない形)から始まり、相手に指示します。
- Install the package before you run the script.(スクリプトを実行する前に、パッケージをインストールしてください)
- Do not edit this file.(このファイルを編集しないでください)
There is / There are 構文(存在を表す):「〜がある」という意味で、本当の主語は be動詞の後ろにあります。is か are かは後ろの名詞が単数か複数かで決まります。there は「そこに」とは訳しません。
- There are three columns in the table.(その表には3つの列がある)
- There is a bug in version 2.1.(バージョン2.1にはバグが1つある)
主語が長い場合:主語は1語とは限りません。The new version of the library(そのライブラリの新しいバージョン)のように、前置詞(of, in, for など)で後ろに説明がつくと長くなります。このとき、動詞の形(-s の有無)はかたまりの中心の名詞(ここでは version)に合わせます。
- The number of rows is 300.(行の数は300である。中心は number なので is)
段階付き例題:データ定義書の3文を読む
自作のデータ定義書の一部を読みます。まず音声で聞いてから、台本で確認しましょう。
The orders table contains one row per order. Each row has an order ID and a customer ID. The status column shows whether the order was paid. There are no rows for cancelled carts.
入力:上の4文。
処理(1文ずつ S・V・O を決める):
| 文 | S(誰が・何が) | V(どうする) | O / C(何を・何である) |
|---|---|---|---|
| 1 | The orders table | contains | one row per order |
| 2 | Each row | has | an order ID and a customer ID |
| 3 | The status column | shows | whether the order was paid(注文が支払われたかどうか) |
| 4 | no rows(There are 構文の真の主語) | are | (場所)for cancelled carts |
出力(和訳):
- 注文表は、注文1件につき1行を含む。
- 各行には注文IDと顧客IDがある。
- status 列は、その注文が支払われたかどうかを示す。
- 取り消されたカート(購入手続き前に捨てられた買い物かご)の行はない。
意味(仕事への影響):文1から「1行=注文1件」と分かるので、行数を数えれば注文件数になります。文4は否定です(no rows = 行が1つもない)。「取り消されたカートの行がある」と読み違えると、カート放棄率をこの表から計算しようとして失敗します。
語句:per ~=「~につき・~ごとに」。whether ~=「~かどうか」。cart=買い物かご。
操作して理解する:語順を入れ替えて、意味の変化を予想する
次の各組について、2文の意味の違いを日本語で言ってから、下の答えで確認してください。
| 組 | 文A | 文B |
|---|---|---|
| (1) | The test checks the function. | The function checks the test. |
| (2) | The user gives the system a file. | The system gives the user a file. |
| (3) | The setting makes the model slower. | The model makes the setting slower. |
| (4) | There is one missing value. | There are no missing values. |
答え:
- (1) A は「テストが関数を検査する」。B は「関数がテストを検査する」で、通常の意味ではありません。
- (2) A は「利用者がシステムにファイルを渡す」(アップロード)。B は「システムが利用者にファイルを渡す」(ダウンロード)。向きが逆です。
- (3) A は「その設定がモデルを遅くする」(model=slower)。B は不自然です。
- (4) A は「欠損値(値が入っていない箇所)が1つある」。B は「欠損値は1つもない」。no は名詞の前について、数がゼロであることを表します。
次の音声を聞き、「誰が」「誰に」「何を」送るのかを日本語で答えてください。
The monitoring service sends an alert to the on-call engineer. The engineer does not send alerts.
答え:監視サービス(monitoring service)が、当番のエンジニア(on-call engineer)に、警報(alert)を送ります。2文目は「エンジニアは警報を送らない」で、送る側は監視サービスだけです。
発展:主語が見つけにくい文
実際の技術文では、次のような理由で主語と動詞が離れたり、見えにくくなったりします。
1. 主語に長い説明がつく:The file that the script creates in the output folder is deleted every night.(スクリプトが出力フォルダに作るファイルは、毎晩削除される)。主語は The file から folder までで、本当の動詞は is deleted です。途中の creates は、主語を説明する部分(関係節。関係節・条件・論理語で扱います)の動詞です。
2. 形式主語 it:It is important to check the units.(単位を確認することが重要だ)。it は「それ」と訳さず、後ろの to check the units が本当の主語です。
3. 動詞にも名詞にもなる語:test, run, record, update, process などは、同じ形で動詞にも名詞にもなります。The process runs every hour.(その処理は毎時実行される。process=名詞、runs=動詞)と The team runs the process.(チームがその処理を実行する。runs=動詞、process=名詞)。-s の位置と、前に the があるかで判断します。
4. 見出しやエラーメッセージ:File not found(ファイルが見つからない)のように、be動詞や主語が省かれます。完全な文に直すと The file was not found. です。省略された部分を補って読む練習は 技術文を区切って読むで行います。
よくある失敗
失敗1:最初に出てきた名詞を「を」で訳してしまう
誤った訳:The client sends the data to the server. →「クライアントをサーバーにデータが送る」
なぜ誤りか:日本語の感覚で、助詞を自由に付けています。英語では動詞 sends の左の The client が主語です。
正しい訳:「クライアントがサーバーへデータを送る」。
直し方:訳す前に、動詞に印をつけ、その左を「〜が」、右を「〜を」と決めてから日本語にします。データの流れる方向(client → server)を矢印で書くと、取り違えに気づきやすくなります。
失敗2:命令文を「〜する」という説明として訳す
誤った訳:Restart the server after the update. →「アップデートの後、サーバーが再起動する」
なぜ誤りか:文頭が動詞の原形 Restart で、主語がありません。これは命令文で、読み手に「再起動してください」と指示しています。説明と読むと、「自動で再起動されるから何もしなくてよい」と判断し、手順を飛ばしてしまいます。
正しい訳:「アップデートの後、サーバーを再起動してください」。
比較:The server restarts after the update.(アップデートの後、サーバーが[自動で]再起動する)は、主語 The server と -s のついた動詞 restarts があるので説明文です。
失敗3:There を「そこに」と訳し、真の主語を見落とす
誤った訳:There are two errors in the log. →「そこにログの中の2つの誤りがある」
なぜ誤りか:There is/are は「〜がある」という1つの決まった形で、there 自体に「そこ」という意味はほぼありません。本当の主語は are の後ろの two errors です。
正しい訳:「ログには誤りが2つある」。
数の確認:are は複数形の主語と組みます。There is an error. なら1つ、There are two errors. なら2つ、There are no errors. なら0です。数を落とすと、障害報告の件数が変わります。
失敗4:英作文で3単現の s を落とす
誤った英文:The function return a list.
なぜ誤りか:主語 The function は1つ(単数)で、現在の一般的な動作を述べているので、動詞に -s が必要です。意味は伝わることも多いですが、読み手は「returns の誤り」か「関数が複数あるのか」で迷います。
正しい英文:The function returns a list.(関数はリストを返す)。複数なら These functions return lists.(これらの関数はリストを返す)。
確認方法:書いた後、主語の中心の名詞(function か functions か)に下線を引き、動詞の形と合っているかを1文ずつ確かめます。
まとめ
- 英語は助詞ではなく語順で役割が決まる。動詞の左が主語、右が目的語か補語。
- 読むときは最初に動詞を探し、その左のかたまりを主語として「誰が・何が」を決める。
- 主語のない動詞の原形で始まる文は命令文で、読み手への指示である。
- There is/are は存在を表し、真の主語は後ろ。no がつけば数はゼロ。
- 主語の中心の名詞が単数なら、現在形の動詞に -s をつける。
用語
- 主語(S)(subject)
文の中で「誰が・何が」にあたる名詞のかたまり。ふつうの文では動詞の左に置かれる。
- 動詞(V)(verb)
動作や状態を表す語。文の中心で、主語に合わせて形が変わる(returns、is など)。
- 目的語(O)(object)
動作を受けるもの。動詞の右に置かれ、「何を」にあたる。
- 補語(C)(complement)
主語や目的語が何であるか・どんな状態かを説明する語。主語・目的語と「=」の関係になる。
- 命令文(imperative)
主語を置かず動詞の原形で始める文。読み手への指示・依頼を表す。
よくある質問
なぜ主語と動詞から読む必要があるのですか?
英語は語順で役割が決まるため、主語と動詞を取り違えると「誰が何をするか」が逆になります。技術文では逆の文も文法的に正しいことが多く、意味の不自然さで気づけません。最初に S と V を決めると、残りの語の役割も決まります。
目的語と補語の違いがよく分かりません。
主語(または目的語)と「=」で結べるなら補語、結べない別のものなら目的語です。The file is empty は file=empty なので補語、The function returns a list は function≠list なので目的語です。迷ったら「AはBである」と言えるかを試してください。
主語が長くて、どこまでが主語か分かりません。
先に動詞を探します。-s がつく語、is/are、過去形の語が候補です。動詞が決まれば、その左にある名詞のかたまり全部が主語です。of や in で始まる部分は、前の名詞の説明として主語に含めます。
命令文と説明文はどう見分けますか?
文頭に主語がなく、動詞の原形(-s がない形)から始まれば命令文です。Install the package. は指示、The installer installs the package. は説明です。手順書では命令文を読み落とすと作業が抜けます。
英作文で -s をよく落とします。仕事で困りますか?
意味は通じることが多いですが、主語が単数か複数かの情報が失われ、読み手が迷います。社外に出す文書やコードのコメントでは、書いた後に主語の中心の名詞と動詞の形を1文ずつ照合する習慣をつけてください。
There is と It is はどう違いますか?
There is/are は「~がある」と存在を表し、本当の主語は後ろにあります。It is ~ to ... は「...することは~だ」で、it は後ろの to 以下を指す形式的な主語です。どちらも there や it を「そこ」「それ」と訳さないのが基本です。
確認問題
問1 The server sends the log to the client. の内容として正しいものはどれか。
- ① クライアントがサーバーへログを送る
- ② ログがサーバーをクライアントへ送る
- ③ サーバーがクライアントへログを送る
- ④ サーバーとクライアントが互いにログを送る
解答と解説
正解:③
動詞 sends の左の The server が主語、右の the log が目的語、to the client は送り先です。
問2 Restart the application after you change the settings. はどのような文か。
- ① アプリが自動で再起動することを説明する文
- ② 読み手に、設定変更後にアプリを再起動するよう指示する文
- ③ 設定が変わったかどうかを尋ねる疑問文
- ④ アプリを再起動してはいけないという禁止の文
解答と解説
正解:②
主語がなく動詞の原形 Restart で始まる命令文です。技術文書では手順の指示に使われます。
問3 There are no missing values in the column. の意味として正しいものはどれか。
- ① その列には欠損値がいくつかある
- ② その列には欠損値しかない
- ③ そこに列の欠損値がある
- ④ その列には欠損値が1つもない
解答と解説
正解:④
There are は「~がある」、no は数がゼロであることを表します。合わせて「1つもない」です。
問4 The number of errors ___ small. の空欄に入る語として正しいものはどれか。
- ① are
- ② be
- ③ is
- ④ were not to
解答と解説
正解:③
主語の中心の名詞は number(数)で単数です。errors は of の後ろの説明なので、動詞は is になります。
問5 次の文のうち、C(補語)を含む文はどれか。
- ① The file is empty.
- ② The function returns a list.
- ③ The job failed.
- ④ The tool sends a warning.
解答と解説
正解:①
The file is empty. では file=empty の関係が成り立ち、empty が主語の状態を説明する補語です。
問6 The team runs the process every night. の process はどの役割か。
- ① 主語
- ② 動詞
- ③ 補語
- ④ 目的語
解答と解説
正解:④
動詞は runs(-s つき)で、その左の The team が主語、右の the process が目的語です。process は the がついているので名詞です。
次に学ぶこと
次は 時制・否定・疑問 で、時制(いつのことか)・否定(not の範囲)・疑問文を学びます。この授業の「動詞を最初に探す」読み方を、そのまま使います。
主語の長い文は 名詞・修飾・比較(名詞と修飾)と 関係節・条件・論理語(関係節)でさらに扱います。この授業の確認問題だけでモジュールの習得とはしません。EN01 の総合テストと自力課題で確認します。
キャリア学習:データサイエンティスト・機械学習エンジニア・DX推進・研究者を目指す人の学習アプリ。164モジュール・984授業を、ブラウザで動くSQLとPythonの演習で。基礎と各分野の最初のモジュールは無料。全部は2,980円の買い切り。
アプリを無料で開く有料版と無料版の違い