検定と回帰|統計検定2級の体系とオリジナル演習
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統計検定2級の体系とオリジナル演習(中級・読む35分+演習35分)
この授業のゴール
- 検定の手順(仮説・片側/両側・検定統計量・分布と自由度・判定・結論の書き方)を、1標本t検定と比率の検定で実行できる
- カイ二乗検定(適合度・独立性)の期待度数・統計量・自由度を手計算できる
- 要約統計量から単回帰の傾き・切片・決定係数を求め、回帰の出力表(係数・標準誤差・t値・p値)を読める
- p値・「棄却されない」・決定係数・回帰係数について、誤った解釈を見抜ける
仕事でどう使うか
検定と回帰は、統計検定2級の範囲の「仮説検定」「カイ二乗検定」「線形モデル」にあたり(対象範囲と項目対応)、実務の報告書に最もよく出てくる統計量です。
| 路線 | この授業の内容が使われる成果物・意思決定 |
|---|---|
| DS | A/Bテストの比率の検定、クロス集計の独立性の検定、売上要因の回帰分析の係数表 |
| ML | 特徴量と目的変数の関係の一次確認、線形回帰の係数の不確かさの読み方 |
| DX | 「有意差あり」の報告を受けたとき、効果の大きさ・区間・片側/両側を確認してから導入判断する |
| RS | 方法の節で検定の種類・自由度・有意水準を明記し、結果の節で統計量と p値と効果量を報告する |
内蔵授業の 仮説検定・効果量・多重比較(有料版)(検定)と 回帰・分散分析・モデル仮定(有料版)(回帰・分散分析)の内容を、手計算できる試験形式の問題に整理します。内蔵授業で主題になっていないカイ二乗検定(適合度・独立性)は、この授業で手順と演習を補います。問題はすべてオリジナルです。
確認日と出典:この授業の試験情報は、2026年10月(10月11日)に統計検定の公式サイトで確認した内容です。
- 統計検定2級のページ:https://www.toukei-kentei.jp/grade/grade2/
- 試験概要のページ:https://www.toukei-kentei.jp/about/summary
- 統計検定2級 出題範囲表(PDF):https://www.toukei-kentei.jp/hubfs/files/grade_range/grade2_hani_20181214.pdf
- 出題範囲表の改訂のお知らせ:https://www.toukei-kentei.jp/news/post-8545試験の方式・範囲・合格水準は変わることがあります。受験前に必ず公式サイトの最新情報で確認してください。
前提
次の内容を前提にします。
- 帰無仮説と対立仮説 → 「帰無と対立仮説」(有料版)、p値と有意水準 → 「p値と有意水準」(有料版)、2種類の過誤 → 「第1種・第2種過誤」(有料版)、検出力 → 「検出力と効果量」(有料版)
- 信頼区間 → 推定と区間、「点推定と信頼区間」(有料版)
- t分布・カイ二乗分布・F分布 → 「正規・指数・t・カイ二乗・F」(有料版)、相関 → 「共分散と相関」(有料版)
- 単回帰 → 「単回帰と最小二乗」(有料版)、重回帰 → 「重回帰と係数解釈」(有料版)、残差 → 「残差と仮定」(有料版)、分散分析 → 「分散分析と比較」(有料版)
- クロス集計 → 層別と集計の罠
記号:$H_0$ は帰無仮説、$H_1$ は対立仮説、$\alpha$ は有意水準、$O$ は観測度数、$E$ は期待度数、$r$ は相関係数、$s_x, s_y$ は標準偏差です。
身近な状況:同じデータで「有意」と「有意でない」が分かれた
ある工場で、新しい充填機の内容量(目標500g)を16個測ったところ、平均506g、標本標準偏差12gでした。2人の担当者の結論が分かれました。
| 担当者 | 仮説 | 判定 |
|---|---|---|
| Iさん | $H_1:\mu\neq500$(両側)、$\alpha=0.05$ | 有意でない |
| Jさん | $H_1:\mu>500$(片側)、$\alpha=0.05$ | 有意 |
計算は2人とも同じで、検定統計量は $t=(506-500)/(12/\sqrt{16})=6/3=2.0$ です。違いはどちら向きの違いを調べるかでした。両側5%の棄却の境目は $t_{0.025}(15)=2.131$、片側5%は $t_{0.05}(15)=1.753$ なので、2.0はちょうどその間にあります。
どちらが正しいかは、データを見る前に何を知りたかったかで決まります。「多すぎても少なすぎても問題」なら両側、「多すぎることだけが問題で、それを示したい」と事前に決めていたなら片側です。データを見てから有意になるほうを選ぶのは、誤りの確率を実質的に増やす不正な手順です。
試験でも、問題文の「異なるか」「大きいか」「少なくとも〜か」といった言葉から片側・両側を読み取る問題がよく問われます。この授業では、検定と回帰の問題を手順の各段階で何を読むかとして整理します。
直感的な説明:検定は「偶然でこれほどずれるか」、回帰は「平均の通り道」
検定は、「差がない(帰無仮説)」と仮定したとき、観測された程度のずれが偶然で起こる確率を計算する手続きです。その確率(p値)が小さければ「偶然だけでは説明しにくい」と判断し、帰無仮説を棄却します。p値が大きいときは「差がない」と証明できたのではなく、「差があると言える根拠が足りない」だけです。
カイ二乗検定は、表の各マスについて「仮説どおりなら何人いるはずか(期待度数)」と「実際に何人いたか(観測度数)」を比べ、ずれの2乗を期待度数で割って合計します。ずれが大きいほど統計量が大きくなります。
回帰は、散布図に「x が1増えると y は平均してどれだけ動くか」を表す直線を引くことです。傾きは相関係数に「y のばらつき÷x のばらつき」を掛けたものなので、相関が同じでも単位が変われば傾きは変わります。決定係数 $R^2$ は「y のばらつきのうち直線で説明できる割合」です。
注意:回帰の傾きは「x が1違う人どうしで y が平均どれだけ違うか」という関連の大きさで、x を1増やしたら y が増えるという因果を意味しません(「介入と観察」(有料版))。
正確な定義:検定の手順・カイ二乗検定・回帰の式
1. 検定の手順
| 段階 | 書くこと |
|---|---|
| ① 仮説 | $H_0:\mu=\mu_0$、$H_1:\mu\neq\mu_0$(両側)または $\mu>\mu_0$(片側)をデータを見る前に決める |
| ② 有意水準 | $\alpha$(例:0.05) |
| ③ 検定統計量 | 例:$t=(\bar{x}-\mu_0)/(s/\sqrt{n})$、比率なら $z=(\hat{p}-p_0)/\sqrt{p_0(1-p_0)/n}$ |
| ④ 分布 | $H_0$ のもとでの分布と自由度(t なら n−1) |
| ⑤ 判定 | 棄却域に入るか、または p値 ≤ α か |
| ⑥ 結論 | 「有意水準5%で $H_0$ を棄却する(差があると言える)」または「棄却できない(差があるとは言えない)」 |
比率の検定では、標準誤差に帰無仮説の値 $p_0$ を使う点が、区間推定($\hat{p}$ を使う)と違います。
2. カイ二乗検定
$$\chi^2=\sum\frac{(O-E)^2}{E}$$
- 適合度検定:k 個のカテゴリの観測度数が、仮説の比率に合うか。期待度数は(総数×仮説の比率)、自由度は $k-1$(比率のパラメータを推定した場合はさらにその数だけ減らす)。
- 独立性の検定:r 行 c 列のクロス集計表で、2つの変数が独立か。期待度数は $E=(\text{行の合計}\times\text{列の合計})/\text{総数}$、自由度は $(r-1)(c-1)$。
- 期待度数が小さい(目安として5未満のマスが多い)と近似が悪くなります。2×2表では連続修正(イェーツの補正)を使う流儀もあり、統計ソフトでは既定で補正がかかることがあります。どちらの方法かを確認します。
3. 単回帰($y=a+bx$):最小二乗法による推定は
$$\hat{b}=\frac{S_{xy}}{S_{xx}}=r\,\frac{s_y}{s_x},\qquad \hat{a}=\bar{y}-\hat{b}\,\bar{x},\qquad R^2=r^2$$
$S_{xy}=\sum(x_i-\bar{x})(y_i-\bar{y})$ は偏差積和です。$R^2=r^2$ は単回帰のときに成り立ちます。残差は $e_i=y_i-\hat{y}_i$(観測値−予測値)です。
4. 回帰の出力表:係数の t値は「係数÷標準誤差」で、自由度 $n-p-1$(p は説明変数の数)のt分布で p値を求めます。重回帰の係数は「他の説明変数を一定にしたときの、その変数1単位あたりの平均的な差」です。ダミー変数(0/1の変数)の係数は、基準カテゴリとの差です。説明変数どうしの相関が強い多重共線性があると、係数の標準誤差が大きくなり、符号が不安定になります。
5. 一元配置分散分析:k 群・全体 N 個で、群間平方和 $S_B$、群内平方和 $S_W$ から
$$F=\frac{S_B/(k-1)}{S_W/(N-k)}$$
を、自由度 $(k-1, N-k)$ のF分布と比べます(「分散分析と比較」(有料版))。
段階付き例題:t検定・比率の検定・カイ二乗・回帰・分散分析
例題1(1標本t検定):冒頭の充填機。$H_0:\mu=500$、$H_1:\mu\neq500$、$\alpha=0.05$。$t=2.0$、自由度15、棄却域は $|t|>2.131$。2.0は棄却域に入らないので「有意水準5%で、平均が500gと異なるとは言えない」。両側p値は約0.064です。
例題2(比率の検定):新しい画面で400人中220人が購入($\hat{p}=0.55$)。従来の購入率は0.5で、$H_0:p=0.5$、$H_1:p\neq0.5$。
- 標準誤差($p_0$ を使う):$\sqrt{0.5\times0.5/400}=0.025$
- $z=(0.55-0.5)/0.025=2.0$。両側の境目1.96を超えるので棄却。両側p値は約0.046。
例題3(独立性の検定):2つの店舗で購入の有無を調べた。
| 購入あり | 購入なし | 計 | |
|---|---|---|---|
| 店舗A | 30 | 70 | 100 |
| 店舗B | 50 | 50 | 100 |
| 計 | 80 | 120 | 200 |
- 期待度数:購入ありは各店 $100\times80/200=40$、購入なしは各店60。
- $\chi^2=\frac{(30-40)^2}{40}+\frac{(70-60)^2}{60}+\frac{(50-40)^2}{40}+\frac{(50-60)^2}{60}=2.5+1.667+2.5+1.667\approx8.33$
- 自由度 $(2-1)(2-1)=1$、5%の境目3.841。8.33>3.841なので「店舗と購入の有無は独立でない(関連がある)」と判断します。
例題4(適合度検定):さいころを60回振ったら、1〜6の目が 5, 8, 9, 12, 10, 16 回。偏りのないさいころなら期待度数は各10。$\chi^2=(25+4+1+4+0+36)/10=7.0$、自由度 $6-1=5$、5%の境目11.07。7.0<11.07なので「偏りがあるとは言えない」。
例題5(単回帰):広告費 x(万円)と売上 y(万円)で、$\bar{x}=10$、$\bar{y}=50$、$s_x=2$、$s_y=8$、$r=0.6$。
- 傾き $\hat{b}=0.6\times8/2=2.4$(広告費が1万円多い月は、売上が平均2.4万円多い)
- 切片 $\hat{a}=50-2.4\times10=26$
- $R^2=0.36$(売上のばらつきの36%を直線で説明)。出力表で傾きの標準誤差が0.8なら、t値は $2.4/0.8=3.0$ です。
例題6(分散分析):3つの陳列方法(k=3)、各10店(N=30)。$S_B=60$、$S_W=270$ なら、$F=(60/2)/(270/27)=30/10=3.0$。自由度 (2, 27) の5%の境目は約3.354なので、5%水準では有意ではありません。
操作して理解する:統計ソフトの出力と手計算を照合する
次のコードは、例題の値を scipy で計算します。stats.chi2_contingency(表, correction=False) は独立性の検定を行い、統計量・p値・自由度・期待度数を返します(correction=True が既定で、2×2表では連続修正がかかるため、手計算と合わせるには False にします)。stats.chisquare(観測度数) は等確率への適合度検定です。
import numpy as np
from scipy import stats
# 例題3 独立性の検定
chi2, p, dof, exp = stats.chi2_contingency([[30, 70], [50, 50]], correction=False)
print("独立性: chi2 =", round(chi2, 3), " p =", round(p, 4), " 自由度 =", dof)
print("期待度数:\n", exp)
chi2_c, p_c, _, _ = stats.chi2_contingency([[30, 70], [50, 50]]) # 既定は連続修正あり
print("連続修正あり: chi2 =", round(chi2_c, 3), " p =", round(p_c, 4))
# 例題4 適合度検定
res = stats.chisquare([5, 8, 9, 12, 10, 16])
print("適合度: chi2 =", res.statistic, " p =", round(res.pvalue, 3))
# 例題1 t検定の p値(両側と片側)
t = (506 - 500) / (12 / np.sqrt(16))
print("t =", t, " 両側p =", round(2 * stats.t.sf(t, 15), 4), " 片側p =", round(stats.t.sf(t, 15), 4))
# 例題5 要約統計量から回帰
r, sx, sy, xbar, ybar = 0.6, 2, 8, 10, 50
b = r * sy / sx; a = ybar - b * xbar
print("傾き", b, " 切片", a, " R2", r**2)
出力:独立性は chi2=8.333、p≈0.0039、自由度1、期待度数は [[40, 60], [40, 60]]。連続修正ありでは統計量が小さくなります(7.5前後)。適合度は chi2=7.0、p≈0.221。t=2.0 の両側p≈0.0639、片側p≈0.032。回帰は傾き2.4、切片26.0、$R^2$=0.36。
考える問い
- 例題3の店舗Bを「購入あり40、なし60」に変えると、統計量はどうなるでしょう。→ 期待度数は各店35と65になり、$\chi^2\approx2.20$ で5%水準では有意でなくなります。コードの表を書き換えて確かめましょう。
- 例題5で y の単位を「万円」から「千円」に変える($s_y=80$、$\bar{y}=500$)と、傾きと $R^2$ は? → 傾きは24、切片は260と10倍になりますが、$R^2$ は0.36のまま変わりません。$R^2$ と相関係数は単位に依存しません。
発展:検定と区間の対応・回帰の仮定・多重比較
検定と区間の対応:例題1の母平均の95%信頼区間は $506\pm2.131\times3=[499.6,\ 512.4]$ で、500を含みます。これは両側5%の検定で棄却されないことと対応します。区間は「どのくらいの差がありうるか」も示すので、検定の結論と一緒に報告すると情報が増えます(「検定結果の伝え方」(有料版))。
比率の差の検定:2群の比率の差を検定するときは、帰無仮説のもとで共通の比率 $\hat{p}=(x_1+x_2)/(n_1+n_2)$ を使って標準誤差を作ります。2×2表の独立性のカイ二乗検定(連続修正なし)の統計量は、この z 統計量の2乗に一致します。例題3では店舗Aの購入率0.3、Bは0.5、共通比率0.4で、$z=0.2/\sqrt{0.4\times0.6\times(1/100+1/100)}\approx2.887$、$z^2\approx8.33$ です。
回帰の仮定:係数の t検定や区間は、誤差が独立・等分散・(小標本では)正規分布であることを前提にしています。残差プロットで曲線や扇形のパターンが見えたら、仮定が崩れています(「残差と仮定」(有料版))。外れ値1つで傾きが大きく変わることもあります。
多重比較:分散分析で有意になっても、「どの群とどの群が違うか」は別の検定(多重比較の補正つき)が必要です。群のペアごとに5%の検定を繰り返すと、全体として少なくとも1つ誤って有意になる確率が5%を超えます(「多重比較と補正」(有料版))。
決定係数の限界:重回帰では説明変数を増やすと $R^2$ は下がらないので、変数の数を考慮した自由度調整済み $R^2$ も見ます。$R^2$ が低くても、係数の推定が意思決定に役立つことはありますし、高くても因果を示すわけではありません。
よくある失敗
失敗1:p値を「帰無仮説が正しい確率」と読む/棄却されない=差がない
誤った例A:「p=0.03なので、差がない確率は3%、差がある確率は97%」と報告する。
なぜ誤りか:p値は「帰無仮説が正しいと仮定したとき、観測以上に極端な結果が出る確率」です。帰無仮説が正しい確率ではありません。
誤った例B:例題1で棄却されなかったので「充填機の平均は500gである」と結論する。
なぜ誤りか:n=16では検出力が低く、6gの差があっても見逃しうる設定です。棄却されないことは「差があるとは言えない」だけで、「差がない」の証明ではありません。区間 [499.6, 512.4] を見れば、12g程度多い可能性も残っています。
直し方:結論は「有意水準5%で〜とは言えない」と書き、信頼区間と標本サイズを併記する(「p値と有意水準」(有料版)、「検出力と効果量」(有料版))。
失敗2:カイ二乗検定の自由度や期待度数を誤る
誤った例:3行4列のクロス集計表の独立性の検定で、自由度を $3\times4-1=11$ とする。または、期待度数を「総数÷マスの数」で全マス同じ値にする。
正しくは自由度 $(3-1)(4-1)=$ 6。5%の境目は自由度11なら約19.68、自由度6なら約12.59と大きく違うので、自由度を誤ると判定が逆になりえます。期待度数は各マスで $(\text{行の合計}\times\text{列の合計})/\text{総数}$ で、行や列の合計が違えばマスごとに値が違います。
直し方:自由度は「(行−1)×(列−1)」、適合度なら「カテゴリ数−1」と、検定の種類とセットで書く。期待度数の合計が観測度数の合計と一致するかで検算する。
失敗3:傾き=相関係数とする/回帰係数を因果と読む
誤った例A:例題5で「相関が0.6なので、広告費が1万円増えると売上は0.6万円増える」とする。
正しくは傾き $=r\times s_y/s_x=0.6\times8/2=2.4$。傾きと相関係数が一致するのは $s_x=s_y$ のときだけです。
誤った例B:「傾き2.4なので、広告費を1万円増やせば売上が2.4万円増える」と予算増額を提案する。
なぜ誤りか:観察データの回帰は関連の大きさで、繁忙期ほど広告も売上も多い(季節という交絡因子)といった理由で傾きが生じることがあります。因果効果を主張するには、無作為化実験や交絡の調整が必要です(「DAGと交絡」(有料版))。
直し方:傾きは「x が1違うとき y が平均どれだけ違うか」と書く。施策の効果を述べるときは、データの取り方(実験か観察か)を必ず確認する。
まとめ
- 検定は「仮説・片側/両側(事前に決める)・統計量・分布と自由度・判定・結論」の順に書く。比率の検定の標準誤差には $p_0$ を使う。
- p値は帰無仮説が正しい確率ではない。棄却されないことは「差がない」の証明ではない。
- カイ二乗検定は $\sum(O-E)^2/E$。期待度数は行合計×列合計÷総数、自由度は独立性なら (r−1)(c−1)、適合度なら k−1。
- 単回帰の傾きは $r\,s_y/s_x$、切片は $\bar{y}-b\bar{x}$、決定係数は $r^2$。係数は関連の大きさで、因果ではない。
- 重回帰の係数は他を一定にした差、ダミー変数は基準との差。分散分析のFは平方和を自由度で割ってから比をとる。
用語
- 期待度数(expected frequency)
帰無仮説が正しいときに各マスに入るはずの度数。独立性の検定では行合計×列合計÷総数。
- 適合度検定(goodness-of-fit test)
観測度数が仮説の比率(例:さいころの各目1/6)に合うかを調べるカイ二乗検定。
- 独立性の検定(test of independence)
クロス集計表の2つのカテゴリ変数が独立かを調べるカイ二乗検定。
- ダミー変数(dummy variable)
カテゴリを0/1で表した説明変数。係数は基準カテゴリとの差を表す。
- 連続修正(continuity correction)
離散的な度数を連続分布で近似するときの補正。2×2表のイェーツの補正など。
よくある質問
片側検定と両側検定は、どちらを使えばよいですか?
データを見る前の目的で決めます。どちら向きの差も重要なら両側、一方向の差だけが意思決定に関係し、それを事前に宣言していたなら片側です。試験では問題文の「異なる」「大きい」「少なくとも」などの言葉から読み取ります。
カイ二乗検定とt検定はどう使い分けますか?
目的変数がカテゴリ(購入した/しない)で、度数の表を比べるならカイ二乗検定、目的変数が量的(内容量、金額)で平均を比べるならt検定です。2群の比率の比較は、比率の差のz検定でも、2×2表のカイ二乗検定でも同じ結論になります(連続修正なしの場合)。
決定係数が低い回帰は役に立たないのですか?
そうとは限りません。個々の予測は外れやすくても、傾きの推定(平均的な関係)が精度よく求まっていれば、施策の検討に役立つことがあります。予測に使うのか、関係の大きさを知りたいのかで判断します。
期待度数が小さいときはどうなりますか?
カイ二乗分布による近似が悪くなり、p値が不正確になります。目安として期待度数5未満のマスが多い場合は、カテゴリをまとめる、フィッシャーの正確検定を使う、などを検討します。
多重共線性があると何が困りますか?
説明変数どうしが強く相関していると、どちらの変数の効果かを分けられず、係数の標準誤差が大きくなり、符号が直感と逆になることもあります。予測の精度自体は落ちないこともありますが、係数の解釈には使えなくなります(「重回帰と係数解釈」(有料版))。
仕事で「有意差あり」と報告されたら、何を確認しますか?
①片側か両側か、事前に決めていたか、②効果の大きさと信頼区間、③標本サイズ、④何回検定したか(多重比較)、⑤実験か観察データか、の5点です。特に②と⑤は、導入判断に直結します(「検定結果の伝え方」(有料版))。
確認問題
問1 「新しい製法で強度が従来の平均50より大きくなったかを確かめたい」と、データを集める前に決めていた。適切な対立仮説はどれか。
- ① $H_1:\mu\neq50$
- ② $H_1:\mu>50$
- ③ $H_1:\mu<50$
- ④ $H_1:\mu=50$
解答と解説
正解:②
「大きくなったか」を事前に決めていたので、右片側の対立仮説です。
問2 検定の結果 p=0.20 だった(有意水準5%)。正しい結論はどれか。
- ① 帰無仮説が正しいことが証明された
- ② 帰無仮説が正しい確率は20%である
- ③ 有意水準5%で、差があるとは言えない
- ④ 差がある確率は80%である
解答と解説
正解:③
p値が有意水準より大きいので棄却できません。「差がない」の証明ではありません。
問3 3行4列のクロス集計表で独立性のカイ二乗検定を行う。自由度はどれか。
- ① 11
- ② 12
- ③ 7
- ④ 6
解答と解説
正解:④
自由度は (行−1)×(列−1)=2×3=6 です。
問4 単回帰で、$s_x=4$、$s_y=10$、相関係数 $r=0.8$。傾きと決定係数の組で正しいものはどれか。
- ① 傾き0.8、決定係数0.8
- ② 傾き2.0、決定係数0.64
- ③ 傾き0.32、決定係数0.64
- ④ 傾き2.0、決定係数0.8
解答と解説
正解:②
傾き $=0.8\times10/4=2.0$、単回帰の決定係数は $r^2=0.64$。
問5 重回帰の出力で、変数「会員ダミー(会員=1、非会員=0)」の係数が 1,200(円)、他に「年齢」も説明変数に入っている。正しい読み方はどれか。
- ① 年齢が同じなら、会員は非会員より平均1,200円多い
- ② 会員になると必ず1,200円多く買う
- ③ 会員の平均購入額が1,200円である
- ④ 会員の割合が1,200倍である
解答と解説
正解:①
ダミー変数の係数は、他の変数を一定にしたときの基準カテゴリ(非会員)との平均的な差です。
問6 一元配置分散分析で、4群・全体40個、群間平方和90、群内平方和360。F値はどれか。
- ① 0.25
- ② 3.0
- ③ 2.25
- ④ 1.0
解答と解説
正解:②
$F=(90/3)/(360/36)=30/10=3.0$ です。
次に学ぶこと
次は 解く順序と計算 で、限られた試験時間で問題を解く順序と、電卓での計算の工夫(和と2乗和からの分散、検算、数値表の読み方)を練習します。
誤解別の戻り先:p値・棄却の解釈 → 「p値と有意水準」(有料版)、「検定結果の伝え方」(有料版)/片側・両側 → 「帰無と対立仮説」(有料版)/自由度・分布 → 「正規・指数・t・カイ二乗・F」(有料版)/回帰の傾き・決定係数 → 「単回帰と最小二乗」(有料版)/係数の解釈・ダミー変数 → 「重回帰と係数解釈」(有料版)/因果 → 「介入と観察」(有料版)。この授業の確認問題だけで習得とはしません。CE01の総合テストと模試(オリジナル模試と弱点補習)で判定します。
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