業務プロセスと価値|経営・会計・業務の基礎
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経営・会計・業務の基礎(中級・読む30分+演習40分)
この授業のゴール
- 業務プロセスを「始点・終点・1件の単位・工程・担当」で書き、各工程を付加価値作業・必要な非付加価値作業・ムダに分類できる
- リードタイム(待ち+作業)、作業時間の割合、手戻りを含む作業時間、1件あたりの業務コストを計算できる
- 工程ごとの処理能力からボトルネックを特定し、ボトルネック以外を速くしても処理件数が増えない理由を説明できる
- AIを使う案と使わない案を、同じ指標と条件で比べ、最初に取り組む改善を選べる
仕事でどう使うか
会社の数字(売上・費用・利益)は、毎日の業務の結果です。費用の多くは「人が業務にかけた時間」であり、顧客の満足は「頼んでから届くまでの時間」や「間違いの少なさ」で決まります。DXやAIの導入は、この業務の流れ(業務プロセス)を変えることで、数字を動かします。
| 路線 | この授業の使いどころ |
|---|---|
| DS(データサイエンティスト) | 業務ログ(工程ごとの開始・終了時刻)から待ち時間と作業時間を集計し、遅れの原因となる工程を特定する |
| ML(機械学習エンジニア) | AIで自動化する工程が、プロセス全体のボトルネックかどうかを確かめる。ボトルネックでない工程を自動化しても、処理件数や納期は改善しない |
| DX(DX推進・AI企画) | 現状のプロセスを数値で記述し、改善案(ルール変更・フォーム化・AI)を同じ条件で比べた資料を作る |
| RS(研究者) | 実験や事務手続きの流れを分解し、待ち時間の長い手続き(承認、発注)を見つけて研究の進行を早める |
成果物は「工程ごとの待ち時間・作業時間・担当・手戻りの表」と「改善案の比較表」です。
前提
次の言葉と計算を使います。不安があれば先に戻ってください。
- 固定費と変動費、人件費は短期的には固定費であること → 固定費と変動費
- 単位経済(1件あたりの費用で考える) → 損益分岐と単位経済
- 平均と合計の手計算、単位の換算(分・時間) → 単位と桁と丸め、平均・合計・中央値を手計算
例は「みなと珈琲焙煎所」のカフェ向け卸注文の受付業務です。時間・金額は架空です。この授業では「時間を数える」ことを中心に扱います。業務を観察して流れ図に描く方法は、DX02 の授業(「現状フロー」(有料版))で詳しく学びます。
身近な状況:作業は合計65分なのに、届くまで丸1日以上かかる
みなと珈琲のカフェ向け卸では、取引先から「注文してから発送の連絡が来るまで遅い」と言われています。店長は「みんな忙しく働いている。人を増やすしかない」と考えています。
注文1件の流れを、担当者に聞きながら工程ごとに測りました(1件あたりの平均、分)。
| 工程 | 担当 | 待ち時間 | 作業時間 |
|---|---|---|---|
| ① 注文メールを確認し、注文表に転記 | 事務 | 60 | 10 |
| ② 在庫を確認 | 事務 | 30 | 5 |
| ③ 店長が注文内容を承認 | 店長 | 240 | 2 |
| ④ 販売システムに入力 | 事務 | 60 | 8 |
| ⑤ 焙煎・袋詰め | 焙煎担当 | 120 | 30 |
| ⑥ 梱包・発送 | 焙煎担当 | 90 | 10 |
| 合計 | 600 | 65 |
待ち時間は、前の工程が終わってから、その工程の作業が始まるまでの時間です(メールが受信箱に置かれている、承認の箱に入っている、など)。
1件の作業時間は合計65分ですが、注文から発送までは $600 + 65 = 665$ 分、約11時間です。営業時間が1日8時間なら、届くまでに2営業日目にかかります。時間の90%以上は、誰も作業していない「待ち」です。人を増やして作業を速くしても、店長の承認を待つ4時間は縮みません。
この授業では、業務の時間を「待ち」と「作業」、作業を「価値を生むもの」と「そうでないもの」に分けて数え、どこを変えれば数字が動くのかを見つけます。
直感的な説明:お客様がお金を払ってくれる作業はどれか
レストランで料理を注文したとします。お客様がお金を払うのは「料理を作る」「運ぶ」ことに対してです。「伝票を書き写す」「店長の確認を待つ」「間違えた料理を作り直す」ことにお金を払いたい人はいません。
業務の作業を、次の3つに分けて考えます。
| 区分 | 意味 | みなと珈琲の例 |
|---|---|---|
| 付加価値作業 | 顧客が求める形に、モノやサービスを近づける作業 | 焙煎・袋詰め、梱包・発送 |
| 必要な非付加価値作業 | 顧客は価値を感じないが、法令・契約・リスク管理のために今は必要な作業 | 在庫の確認、承認(誤出荷や与信のリスクを防ぐ) |
| ムダ | なくしても顧客にも会社にも困ることがない作業・時間 | 待ち時間、メールから注文表への転記(二重入力)、入力ミスの修正(手戻り) |
改善の順番は、①ムダをなくす、②必要な非付加価値作業を軽くする(ルールの見直し、まとめて処理)、③付加価値作業を速く・正確にする、です。
たとえの限界:「承認はムダ」と決めつけてはいけません。承認は、誤った注文や回収できない取引先への出荷を防ぐ役割を持つことがあります。承認をなくすなら、その役割を別の方法(金額の上限、事後チェック)で守れるかを確かめます。何が価値かは、顧客と会社の目的によって決まります。
正確な定義:プロセスの書き方と、時間・能力・費用の指標
プロセスの書き方
業務プロセスとは、入力(注文)を受けて、一連の工程を経て、顧客に価値のある出力(商品の発送)を届ける流れです。書くときは次の5つを決めます。
- 始点と終点(例:注文メールの受信 〜 発送連絡の送信)
- 1件の単位(例:注文1件。1件に複数商品があっても1件)
- 工程(動詞で書く。「承認」ではなく「店長が注文内容を承認する」)
- 担当(役割で書く。個人名ではなく)
- 例外(在庫切れ、内容の不備、取消など、通常と違う流れ)
時間の指標
$$\text{リードタイム} = \sum_{\text{工程}} (\text{待ち時間} + \text{作業時間})$$
$$\text{作業時間の割合} = \frac{\sum \text{作業時間}}{\text{リードタイム}}, \qquad \text{工程効率} = \frac{\sum \text{付加価値作業の時間}}{\text{リードタイム}}$$
例:リードタイム665分、作業時間65分、付加価値作業40分(焙煎30+発送10)なら、作業時間の割合は $65 \div 665 \approx 9.8\%$、工程効率は $40 \div 665 \approx 6.0\%$ です。
手戻り
手戻り率は、ある工程の出力に誤りがあり、やり直しが発生した件数の割合です。転記ミスが5%の注文で起き、1回の修正(顧客への確認と再入力)に30分かかるなら、1件あたりの期待作業時間は
$$10 + 0.05 \times 30 = 11.5 \text{ 分}$$
になります。手戻りは平均では小さく見えても、起きた件のリードタイムを大きく延ばします。
処理能力とボトルネック
$$\text{工程の処理能力(件/日)} = \frac{\text{担当人数} \times \text{1人がその工程に使える時間(分/日)}}{\text{1件の作業時間(分)}}$$
プロセス全体で1日に処理できる件数は、処理能力が最も小さい工程(ボトルネック)で決まります。ボトルネック以外の工程を速くしても、全体の処理件数は増えません(その前で待ちが増えるか、後ろで手が空くだけです)。
業務コスト
$$\text{1件の業務コスト} = \sum (\text{作業時間} \times \text{その担当の時間単価})$$
時間単価は、給与に社会保険料などを含めた人件費を、働く時間で割った金額です。ここでは事務の時間単価を2,400円/時(40円/分)とします。
注意:作業時間が減っても、人件費(固定費)がすぐに減るとは限りません。浮いた時間で残業や外注が減る、他の価値ある仕事に移る、採用を見送れる、などの実際の変化があって初めて費用やPLが動きます(「便益と費用」(有料版))。
段階付き例題:卸注文の受付業務を数値で記述する
問題:冒頭の卸注文プロセスについて、①リードタイムと時間の内訳、②手戻りを含む事務の作業時間と業務コスト、③事務工程の処理能力を求め、改善の焦点を決めます。月の注文は400件、事務担当は1人で、受付業務に使える時間は1日240分です。
ステップ1:時間の内訳。リードタイム665分のうち、待ち600分(90.2%)、作業65分(9.8%)。最も長い待ちは③承認前の240分で、リードタイムの約36%を占めます。
ステップ2:作業を3区分に分ける。
| 区分 | 工程 | 作業時間 |
|---|---|---|
| 付加価値作業 | ⑤焙煎・袋詰め、⑥梱包・発送 | 40分 |
| 必要な非付加価値作業 | ②在庫確認、③承認 | 7分 |
| ムダ(二重入力) | ①転記(④でシステムに入力し直している) | 10分 |
| 必要な入力 | ④システム入力 | 8分 |
①と④は同じ情報を2回書いています。注文を最初からシステムに入る形で受け取れれば、①は不要になります。
ステップ3:手戻りを含む事務の作業時間。①で転記ミスが5%の注文に起き、1回の修正に30分かかります。事務の工程(①②④)の期待作業時間は
$$(10 + 0.05 \times 30) + 5 + 8 = 24.5 \text{ 分/件}$$
ステップ4:業務コスト。事務は $24.5 \times 40 = 980$ 円/件、店長の承認は時間単価4,800円/時(80円/分)として $2 \times 80 = 160$ 円/件。月400件なら、事務 $980 \times 400 = 392{,}000$ 円、承認 $160 \times 400 = 64{,}000$ 円、合計45.6万円分の時間です。
ステップ5:事務の処理能力。1日240分 ÷ 24.5分 ≈ 9.8件/日。月20営業日で約196件で、月400件に足りません。これが、事務の待ち時間(①の60分、④の60分)が長く、残業が発生している理由です。事務は時間のボトルネックになっています。
ステップ6:改善の焦点。
- 顧客が待つ時間を縮めるには、承認の待ち240分が最大の対象。
- 事務の能力不足を解消するには、転記(10分)と手戻り(1.5分)をなくすのが先。増員はその後で検討。
- 焙煎(付加価値作業)を速くしても、どちらの問題も解決しません。
操作して理解する:業務ログから待ちと作業を集計する
内蔵データ workflow.csv は、架空の申請処理業務の記録で、50件×5工程=250行です。1行は「ある案件の、ある工程」です。列は case_id(案件ID)、step_no(工程番号)、step(工程名)、role(担当の役割)、wait_min(待ち時間、分)、work_min(作業時間、分)、exception(例外があれば1)です。
groupby は、指定した列の値ごとに行をまとめる pandas の機能で、.mean() で平均、.sum() で合計を求めます。
import pandas as pd
wf = pd.read_csv('/data/workflow.csv')
by_step = wf.groupby(['step_no', 'step', 'role'])[['wait_min', 'work_min']].mean().round(1)
print(by_step)
case = wf.groupby('case_id')[['wait_min', 'work_min']].sum() # 案件ごとに合計
case['lead_min'] = case['wait_min'] + case['work_min']
print('1件の平均リードタイム', round(case['lead_min'].mean(), 1), '分')
print('うち作業時間の割合', round(case['work_min'].sum() / case['lead_min'].sum() * 100, 1), '%')
has_ex = wf.groupby('case_id')['exception'].max() # 1つでも例外があれば1
print('例外のある案件', int(has_ex.sum()), '/', len(has_ex))
print(case.groupby(has_ex)['lead_min'].mean().round(1))
出力の要点:
| 工程 | 担当 | 平均の待ち(分) | 平均の作業(分) |
|---|---|---|---|
| 受付 | 窓口 | 17.3 | 11.9 |
| 内容確認 | 担当者 | 14.6 | 9.6 |
| 上長承認 | 課長 | 54.0 | 7.3 |
| システム登録 | 担当者 | 14.8 | 10.6 |
| 完了連絡 | 窓口 | 14.2 | 10.2 |
- 1件の平均リードタイムは164.5分、うち作業時間の割合は30.2%です。
- 待ちが最も長いのは上長承認の前(平均54.0分)で、他の工程の3倍以上です。
- 例外のある案件は50件中7件(14%)で、例外の有無で平均リードタイムはほとんど変わりません(164.3分と165.9分)。このデータでは、例外より承認待ちのほうが遅れの主な原因と考えられます。
注意:これは平均です。承認待ちが長いのは「課長が忙しい」からか、「承認の依頼に気づかない」からかは、データだけでは分かりません。理由は現場で確かめます(数値と現場の接続)。
考える問い:by_step の代わりに、工程ごとの待ち時間の最大値(.max())を表示すると、どの工程で極端な待ちが起きていますか。
発展:リトルの法則、ばらつき、部分最適
リトルの法則
安定して回っているプロセスでは、次の関係が成り立つことが知られています。
$$\text{仕掛かり件数} = \text{処理件数(件/時間)} \times \text{リードタイム(時間)}$$
1日20件を処理し、リードタイムが2日なら、常に約40件が途中にあります。仕掛かり(未処理の注文)を減らせばリードタイムが縮む、という見方もできます。「受け付けたが手を付けていない注文」が多いプロセスは、待ちが長いプロセスです。
ばらつきと待ち
平均の作業時間が処理能力に収まっていても、注文が集中する日や、作業時間がばらつく案件があると、待ちは急に伸びます。工程の稼働率(使える時間のうち、作業で埋まっている割合)が100%に近いと、待ちは非常に長くなりやすいので、ボトルネックには余裕を持たせます。
部分最適の罠
ある工程だけを自動化して速くすると、その工程の指標は良くなりますが、次の工程(たとえば承認)の前に仕事が積み上がるだけのことがあります。改善の評価は、プロセス全体の指標(リードタイム、1件の総コスト、手戻り率、処理件数)で行います。
価値の基準は誰か
この授業の「付加価値」は、主に顧客にとっての価値で判断しました。社内の統制(不正防止、法令順守)のための作業は、顧客価値がなくても必要なことがあります。分類した理由を表に1行書き、関係者と合意してから改善案を作ります。
よくある失敗
失敗1:作業時間だけを測り、待ち時間を見ない
誤った分析:「1件の作業時間は65分。AIで転記を自動化して10分減らせば、15%速くなる。」
顧客が感じる時間はリードタイム665分です。転記の10分が減っても、リードタイムは $665 - 10 = 655$ 分で約1.5%しか縮みません。最大の待ち(承認前の240分)は残ったままです。
直し方:工程ごとに待ち時間と作業時間を両方測り、リードタイムに占める割合を出してから改善の対象を選びます。「作業が速くなる」と「顧客に早く届く」は別の成果です。
失敗2:ボトルネックではない工程を改善して、処理件数が増えると見込む
誤った見込み:「焙煎を20%速くする機械を入れれば、月の注文処理件数も20%増える。」
事務工程の処理能力が月約196件で、注文400件に追いついていない状況では、焙煎を速くしても事務の処理件数は増えません。焙煎担当の手が空く時間が増えるだけです。
直し方:工程ごとの処理能力(件/日)を計算し、最も小さい工程を先に改善します。ボトルネックを解消すると、次に小さい工程が新しいボトルネックになるので、改善後にもう一度計算します。
失敗3:削減した作業時間を、そのまま費用の削減として報告する
誤った報告:「転記の廃止で月 $11.5 \text{分} \times 400 \text{件} \approx 77$ 時間、$\times 2{,}400$ 円=約18.4万円の費用削減。」
事務担当は月給制なので、作業時間が減っても給与はすぐには減りません。浮いた時間で残業が実際に減る、外注していた作業を戻す、採用予定を見送るなどの変化があった場合だけ、費用が減ります。
直し方:「時間の削減(月77時間)」と「お金の削減(そのうち残業削減で月○円)」を分けて書き、時間の使い道と、それを確認する方法・責任者を書きます。
まとめ
- 業務プロセスは、始点・終点・1件の単位・工程・担当・例外を決めて書く。
- リードタイム=待ち時間+作業時間。多くの業務では待ちが大半を占め、作業を速くしても顧客の待ちは縮まないことがある。
- 作業を付加価値作業・必要な非付加価値作業・ムダに分け、ムダの削除から始める。統制のための作業は役割を確かめてから軽くする。
- 全体の処理件数はボトルネック工程の能力で決まる。手戻りは期待作業時間を押し上げる。
- 時間の削減と費用の削減は別。AIの案も、AI以外の案と同じ指標・同じ条件で比べる。
用語
- 業務プロセス(business process)
入力を受けて、一連の工程を経て、顧客に価値のある出力を届ける流れ。
- リードタイム(lead time)
プロセスの始点から終点までの経過時間。待ち時間と作業時間の合計。
- 付加価値作業(value-added work)
顧客が求める形にモノやサービスを近づける作業。
- ボトルネック(bottleneck)
プロセスの中で処理能力が最も小さく、全体の処理件数を決めている工程。
- 手戻り(rework)
前の工程の誤りや不備のために、作業をやり直すこと。
- 工程効率(process cycle efficiency)
リードタイムに占める付加価値作業の時間の割合。
よくある質問
なぜ会計の授業で業務プロセスを学ぶのですか?
費用の多くは業務にかかる時間で、顧客の満足(ひいては売上)は業務の速さと正確さで決まるからです。PLの数字だけでは、どこを変えれば数字が動くかが分かりません。業務プロセスを数値で記述すると、改善案がPLのどの行を、どれだけ動かすかを説明できるようになります。
待ち時間とボトルネックは同じものですか?
違います。待ち時間が長い工程は、能力が足りないのではなく、まとめて処理している・依頼に気づかないなどの理由で待たされていることがあります。ボトルネックは処理能力(件/日)が最も小さい工程です。「顧客の待ち時間を縮めたい」なら長い待ちを、「処理件数を増やしたい」ならボトルネックを狙います。
どこで失敗しやすいですか?
①作業時間だけを測る、②ボトルネックでない工程を自動化する、③時間の削減をそのまま費用の削減と報告する、④統制のための作業を確かめずに削る、⑤平均だけを見て、例外やばらつきを見ない、が典型です。
業務の時間は、どうやって測ればよいですか?
システムのログ(工程ごとの開始・完了時刻)があれば使います。なければ、一定期間(例:2週間)担当者に記録してもらうか、数件を観察して測ります。測る前に、始点・終点・1件の単位・工程の区切りを定義しておかないと、人によって測り方が変わります。測り方の詳細は DX02 で学びます。
AIの導入を検討するとき、この授業の考え方はどう役立ちますか?
AIで自動化しようとしている工程が、①リードタイムの大きな部分を占めるか、②ボトルネックか、③ルールの見直しやフォーム化で消せるムダではないか、を先に確かめます。AIを使わない案と同じ指標(リードタイム、作業時間、手戻り率、費用)で比べ、勝つ場合にAIを選びます。
条件が変わる(注文が倍になる)と、どうなりますか?
各工程の必要時間が倍になり、処理能力を超えた工程の前で待ちが急に伸びます。注文が増える見込みがあるときは、今の量でなく将来の量で処理能力を計算し、どの工程が最初にボトルネックになるかを確かめておきます。
確認問題
問1 リードタイムの定義として正しいものはどれですか。
- ① すべての工程の待ち時間と作業時間の合計(始点から終点まで)
- ② すべての工程の作業時間の合計
- ③ 最も長い工程の作業時間
- ④ 担当者が1日に働く時間
解答と解説
正解:①
リードタイムは、始点(注文の受信など)から終点(発送連絡など)までの経過時間で、待ち時間と作業時間の両方を含みます。
問2 工程の処理能力が、受付60件/日、確認48件/日、承認120件/日、返金36件/日のとき、AIで確認工程を2倍速くしたらプロセス全体の1日の処理件数はどうなりますか。
- ① 96件/日に増える
- ② 36件/日のまま変わらない
- ③ 48件/日に増える
- ④ 72件/日に増える
解答と解説
正解:②
全体の処理件数は、最も能力が小さい工程(返金36件/日)で決まります。確認を速くしても36件/日のままです。
問3 転記作業10分の注文で、5%の注文に転記ミスが起き、1回の修正に30分かかります。転記の1件あたりの期待作業時間はいくつですか。
- ① 10分
- ② 10.5分
- ③ 11.5分
- ④ 40分
解答と解説
正解:③
10+0.05×30=11.5分です。手戻りは平均の作業時間を押し上げます。
問4 次のうち、顧客にとっての「ムダ」に分類するのが最も適切なものはどれですか(コーヒー豆の卸)。
- ① 注文された豆を焙煎する
- ② 商品を梱包して発送する
- ③ 注文どおりの豆を袋に詰める
- ④ 注文メールの内容を注文表に書き写し、同じ内容を販売システムにも入力する
解答と解説
正解:④
同じ情報を2回入力する作業(二重入力)は、顧客にも会社にも価値を生まないムダです。
問5 事務作業の削減で「月77時間削減=月18.4万円の費用削減」と報告されました。事務担当は月給制で、残業はもともとありません。最も適切な指摘はどれですか。
- ① 正しい報告である
- ② 時間の削減と費用の削減は別。浮いた時間の使い道(外注削減、採用見送り、他業務への配置)が決まり、実際に費用が減る場合だけ費用削減として報告する
- ③ 時間単価を2倍にして報告すべき
- ④ 削減時間を年に直せば正しくなる
解答と解説
正解:②
月給制の人件費は短期的には固定費です。時間が減っただけでは支払う給与は変わりません。
問6 承認待ちが平均240分と長いプロセスで、承認を廃止する案が出ました。最も適切な進め方はどれですか。
- ① 承認はムダなので、すぐに廃止する
- ② 承認が防いでいるリスク(誤出荷、未回収など)を確認し、金額の上限や事後確認などで守れる範囲で承認を減らす
- ③ 承認者を増やして、全件を2人で承認する
- ④ 待ち時間は作業ではないので、改善の対象にしない
解答と解説
正解:②
承認は必要な非付加価値作業であることが多く、役割を別の方法で守れるかを確かめてから軽くします。
次に学ぶこと
次は 数値と現場の接続 で、会計の数字と現場の業務をつなぎます。「営業利益を上げる」という目標を、現場で測れる指標と行動に分解し、改善案の効果を利益と現金の両方で比べます。
業務の観察と流れ図の描き方は 「現場観察とヒアリング」(有料版)、「現状フロー」(有料版)、例外と手戻りの扱いは 「例外と手戻り」(有料版) で詳しく学びます。費用の分類に不安があれば 固定費と変動費 に戻ってください。
この授業の確認問題だけでモジュールの習得とはしません。DX01 の総合テストと自力課題で判定します。
キャリア学習:データサイエンティスト・機械学習エンジニア・DX推進・研究者を目指す人の学習アプリ。164モジュール・984授業を、ブラウザで動くSQLとPythonの演習で。基礎と各分野の最初のモジュールは無料。全部は2,980円の買い切り。
アプリを無料で開く有料版と無料版の違い